建替え工事で「分離発注」する際に注意したいこととは?メリット・デメリットも解説

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住宅の建替えで発生する2つの大掛かりな工事「旧宅の解体」と「新居の建築」は、一般的には新居の建築を受け持つ住宅施工会社に一括して発注します。

しかし、この「旧宅の解体」の部分を、施主みずからが解体工事専門業者を探して依頼することを「分離発注」といい、解体と新築をひとつの会社にまとめて発注する「一括発注」と比べてメリットとなることがあります。

今回はこの分離発注を行うにあたっての注意点を、メリット・デメリットとともに解説していきます。

建替え分離発注のメリット

コストを抑えることができる

住宅施工会社に「解体」と「新築」をいっぺんに依頼する一括発注では、依頼先はたしかに一か所ですが、それを受けた住宅施工会社が実際に2つの工事を担当するわけではありません。その会社の下請け業者や、懇意にしている解体専門業者に解体工事部分だけをまかせるのです。

このとき、当然「仲介手数料」が発生しています。その負担は、もちろん施主です。ここは意外と知られていない部分なのですが、いわゆる中間マージンとして工事費用の見積にも乗せられているものです。

この中間マージンは、自分で解体業者を見つけて分離発注することにより、カットすることが可能です。場合によっては数十万円から数百万円の節約になることもあるくらいです。

デメリットの部分で後述しますが、解体業者を自分自身で探す手間と天秤にかけて、どちらを重視するかしっかり検討したいところですね。

工事の質を上げられる

解体業者を自分で探してきて、見積依頼も現地調査も契約もすべて自分自身で行うとなると、業者との直接やり取りの機会が多く、担当者との信頼関係も築きやすくなります。

意思疎通もはかりやすくなるので、自分の希望をきちんと伝えられて、行き違いや伝達ミスも最小限に抑えられるでしょう。

そういったことから、現場のモチベーションも上げられて、工事自体の質も総じて上がることにつなげられます。

建替え分離発注のデメリット

自分で業者を探して比較・検討しなければいけない

一括発注の場合は、住宅施工会社の下請け企業や懇意にしている解体業者が解体工事の部分を受け持ちますが、分離発注はその解体業者を自分で探す必要があります。

候補業者のピックアップから、現地調査を経て見積の依頼。業者の選定まですべて自分で行わなければなりません。紹介などで良い業者に巡り会えればいいのですが、なかなかそううまくいかないこともあるでしょう。

業者の選定を終えたら契約を交わし、住宅施工会社も含めた三者で細かく打合せを行って、解体工事を見届けます。そこまで自分で行う労力と、一括発注での中間マージン。手間と費用の、どちらの節約に重きを置くかは人それぞれというわけですね。

手間と時間がかかる

前述の「自分で業者を探さなければならない」という点も当てはまりますが、分離発注は費用の節約になる反面、とにかく手間と時間はかかるものです。

一括発注であれば、打合せや調整などをひとつの業者相手にだけで済むところが、分離発注の場合はふたつの業者相手にしなければならないのです。しかも、それぞれとの調整だけでなく、三者の取り持ちということも時には必要となるでしょう。

解体業者を自分で見つけて、まかせて、それで一安心…ではなく、そこからまだまだ手間はかかります。解体工事は解体業者と、新築工事は住宅施工会社と、それぞれ打合せをおこなわなければいけません。それを負担に思ったり、時間をかけて取り組める余裕がなかったりするならば、分離発注はなかなか難しいかもしれませんね。

住宅ローンが組めない

一括発注の場合は、新築工事だけでなく解体工事の部分も住宅ローンに組み込んでの返済計画が可能です。しかし分離発注の場合は、それができません。そもそも解体工事自体にはもともと住宅ローンが使えないため、解体工事がひとつの工事として独立してしまう分離発注では別の方法で費用を工面するしかないのです。

現在は解体工事ローンといって、解体専用の商品も用意されていますが、新築工事における住宅ローンのほかにもうひとつ新しく解体ローンを組む心理的なハードルを考えると、住宅ローンが使えないことはデメリットのひとつとして数えられるかもしれませんね。

分離発注する際の注意点

三者での立ち合いが必要

解体工事のあとに新築工事が控えている状態では、解体業者と住宅施工業者との意思疎通と情報交換が非常に重要になります。施主も交えて、三者で現場立ち合いや打合せをする機会を、工事前と工事中に何度か設けるようにすると良いでしょう。トラブル防止のためにも軽視してはいけないポイントです。

特に、三者打合せのときには下記のような点に留意して話し合いましょう。

連絡先の交換

施主・解体工事業者・住宅施工会社がそれぞれ連絡を取り合えるように、三者で連絡先を交換しておくようにしましょう。解体業者と施工業者が連絡を取り合うケースはほとんど考えられませんが、場合によってはその方がスムーズに話が進むこともありうるからです。

工事のスケジュール

解体工事がどのようなスケジュールで進み、いつ完了するかという時期のめどが立っていないと、その後の新築工事にも多大に影響してきます。逆に、新築工事の着工のタイミングを解体業者に伝えておくことで、解体業者はそれに間に合わせて工事を終わらせることができます。三者打合せでは、スケジュールの共有もしっかり行っておきましょう。

工事範囲

解体工事のあとはもちろん更地になっており、そこに新築を始めるわけですが、場合によってはブロック塀をある程度残しておきたいとか、庭の一部はそのままにしておきたいとか、きちんと施主が希望を伝えて情報を共有しておかなければならない点もあります。

配管をどこで切るかなど、新築になってからも影響する部分については、情報共有や伝達不足が非常に困った事態を引き起こすことにもなりかねないので、工事の範囲についても三者でしっかり確認しあっておくべきでしょう。

業者の見極めをしっかり行う

自分で解体業者を選定する以上、その見極めはしっかり行わなければなりません。

解体工事を行うために必要となる許可を保有しているのかどうか、過去に違法工事や不法投棄をしていないかどうか、ということを確認するのは、まず最低条件です。

許可については、業者に許可証の提示を求めればすぐにわかりますし、過去の違法行為に関しては各自治体にお願いすれば調べてもらうことが可能です。いわゆる「悪徳業者」とまでいかなくても、グレーな業者と契約したいという施主はいないでしょう。

安心のためにも、まずはここからしっかり確認です。

施工は自社で行っているかの確認をする

せっかく分離発注で解体業者を見つけてきても、その業者がさらに下請け業者に解体工事をまかせていたのでは、中間マージンを浮かせた意味が一切なくなってしまいます。

細かいことですが分離発注のメリットの本質にも迫る問題なので、「自社施工なのか」という点は、最初の段階でしっかり確認しておくようにしましょう。

まとめ

建替え工事の「分離発注」は、中間マージンをカットできる分費用を大幅に抑えることができる一方で、手間と時間は「一括発注」に比べて非常にかかる方法です。また、みずから解体業者を探すということから、その見極めも大切です。

せっかく手間暇をかけるのですから、しっかりポイントをおさえ、良い解体業者と出会えると良いですね。

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